料理のレシピそのものやレシピ同士の関係性などを扱う研究も進む中,調理現場での利用はもちろん,映像制作など様々な分野でのレシピ参照性や発展性も次第に高度な課題を孕み始めたように考えられています。視点や用途が異なれば求められる検索性やレシピそのもののデータ化,アーカイブ化で満たすべき要件も異なることとなりますが,レシピをアーカイブ化した後の(機械学習などの)事後的利用も踏まえたナレッジシェアの在り方が変わり始めていると考えられます。本ワークショップでは,料理のレシピのアーカイブ化,関係する様々なネットワークおよびその解析と利用についての近年の変化を特集し,数理的な側面での発展性に関して掘り下げていきたいと思います。
近年の情報化によって食に関するデータが急増している中,それを活用したfood computing や computational gastronomy と呼ばれる分野が盛んに研究されはじめています。本講演では,その流れをサーベイ的に紹介します。特に,ネットワークサイエンスのアプローチに着目し,ネットワークサイエンスを用いた,料理レシピの原理として提唱された flavor pairing hypothesis の研究や料理の社会文化的な側面の研究等を特集します。最後に,最近取り組んでいる試みとして,専門分野であるトポロジカルデータ解析のレシピ解析への応用の可能性を紹介します。
近年,分子調理と呼ばれる新しい調理法の提唱や,フードテックなどの未来の食を支えるためのイノベーションが進んでおり,これら新しい学問の確立や技術革新によってレシピも多様化してきています。ここでは,調理や食を取り巻くイノベーションとこれに基づいて多様化するレシピを紹介するとともに,若年者のレシピに対するニーズの傾向を紹介します。
分子調理やフードテックについて解説したあとに,多様化しているレシピを紹介し,最後に(大学生対象の調査ですが)若年者がレシピに対してどのようなニーズを求めているかを当研究室の調査結果を含め紹介したいと思います。
アニメ本編と連動したコラボレーションメニューの開発では,複数店舗で迅速かつ安定的に展開可能な制約の元,創意工夫を行いつつのレシピの模索と開発を行うこととなります。そこでは長期展開する前提での開発と異なり,映像内のモチーフを感覚的に捉えた特徴を元に進めるため,通常の飲食業でのレシピ模索と異なる課題をもたらすことになります。本セッションでは,アニメスタッフ,レシピ担当双方の模索の様子を細やかに解説し,料理のレシピのネットワークに関する検索上の課題や,スタッフの試行錯誤を支えるICTの発展の必要性に関してお話ししたいと思います。一部の内容は,スタジオフォンズと共同で調査を進め,とりまとめたものを含みます。
最初に,映像制作の上での制作資料として実際に調理した画像をアーカイブ化し活用する上での,映像制作特有のレシピの細分化とその調理・撮影・アーカイブ化などの流れを説明します。次に,アーカイブ化された画像の映像制作的活用として,特徴抽出により得られたデータのネットワークの発展性に関して説明します。最後に,家具・衣服など,映像制作上扱う対象の制作資料・アーカイブ化を進める上で,料理方面のアーカイブから得られた知見の活用の可能性に関してお話しします。
料理のレシピが活用される場面は多様で,家庭でのレシピ検討から店舗でのレシピ模索,健康管理を念頭に置いたレシピ検討など,昨今のICTの発展で複雑さが増していく状況にあります。本セッションでは,今後複雑化していくであろう料理のレシピのネットワークに関して,具体的に例えば,
などについて,参加者の皆さんとお話ししたいと思います。
料理以外の分野の視点も交えてレシピのデータ化に必要な情報について議論が行われましたが, 料理のデータ化の規格化・標準化の問題は根深いことが浮き彫りになり,今後もこれらが大きな 課題の一つになると認識出来ることとなりました。その中,ユースケースや扱う人間の分野の多様性を 考えると,レシピデータに持たせる情報量に段階を持たせて管理するのはどうか?という案が 一つの意見としてまとまっていたように思います。
講演等で紹介された論文など。