Nagasaka Lab.
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卒業研究の概要

卒業研究の対象

時代と社会の要請に応じた数理情報環境における適切な卒業研究を提供するために,学際領域において重要な役割を担う計算機環境における基礎分野である応用代数学分野から,数理情報としてのより良い教育環境の提供を研究する意味での情報科学分野(これは科学の発達と人間との関わりにおいて,今日,重要な意味を持つ分野です)まで幅広いトピックを扱います.大きく分けると次のようなトピックになります.
数式処理
因数分解や無平方分解,代数方程式の解法などの数式処理の基本的な演算について学び,そのアルゴリズムの特徴を調べます.
数値・数式融合計算
厳密な演算を行う数式処理とは異なり,係数に浮動小数点数を利用するなど,数式処理とは異なるアルゴリズムを必要とする数値・数式融合計算について学び,アルゴリズムの特徴や誤差の伝搬について調べます.
統合計算システムとその応用
Mathematicaなどの統合計算システムについて学び,それらのシステムを使うことで可能となる,様々な応用事例についての情報収集を行い,どのような応用が可能かについて実験を交えて調査します.
数学とウェブインターフェイス
インターネット技術の発展と共に利用されることが多くなったウェブインターフェイスを使って,数学に関連する実用的な応用方法を調査し,その問題点や解決方法などについて調査します.
分散システム/インターネット運用技術
数理情報分野の基礎となるコンピュータやネットワークについて学び,システム設計やシステム運用における問題点や解決策を,実際のシステム構築を交えて調査します.
数学教育の情報化
ICT社会の到来により,教育現場における情報化が進んでいます.卒業研究では,技術的な側面から事例を取り上げて,システムやその改良について調査します.
これまでの主なテーマ
「Q上の1変数多項式の因数分解の比較と考察」,「地域環境における情報交換をサポートするウェブサイト,「環境プラザ」の構築と考察」,「サイエンスカフェ神戸をサポートするウェブサイトの構築と考察」,「ウェブによるネットワーク管理の研究」,「中学校の数学教育におけるパソコンソフトの現状と活用の指針」,「Firefoxを利用した広報システムの開発」,「大学におけるPS3の活用研究」,「「教科書仲介サイト」の機能とデザインの考察」,「ファッションコーディネートシステムに向けたWebアプリケーションの作成」,「より快適なWebブラウジングの為のユーザ補助の検討」,「Androidによる手書き計算アプリケーションの設計と開発」,「2人ゼロ和有限確定完備情報戦略型ゲームの解の考察」,「2D Orientation Problem に対する数値計算による判定手法の考察」,「広報システムの改善」,「Pocket Cubeの解法と手数」,「画像データ内の三角形形状の検出について」,「広報システムの改善案 -高い情報伝達率の実現-」,「2人同時出番展開形ゲームの解の考察」,「Sudokube -多様性と数学的構造の探求-」,「高校数学の基礎的理解に効果的な動的教材の条件」

特別研究の概要

特別研究の対象

学部学生向けの取り扱っているテーマに比べ,前期課程(修士)学生向けのテーマでは,より専門的に,より深くトピックを取り上げていきます.そのため,配属初期に大枠として,理論的な部分を深く掘り下げていくか,それとも技術的なスキルに注視していくかを選択してもらいます.その選択にもよりますが,基本的には学部学生と同じ領域におけるテーマを対象とします.
数式処理
古典的な様々な数式処理の知識をベースに,最先端の因数分解や無平方分解,代数方程式の解法などの数式処理の中心的な話題について取り上げ,幅広い文献を読み,その中から特定のアルゴリズムの特徴を深く調べ,その改良に取り組みます.
数値・数式融合計算
数値・数式融合計算は,実社会における技術の要請から起こった分野で,ここ10年から20年で飛躍的に進歩しています.しかしながら,未だ,これこそが数値・数式融合計算であるという根本的なところまでは進展していません.数値解析などの実用性重視の立場もあれば,厳密な意味での近似という立場もあります.それぞれの良いところを調べ,実用上の問題点とその改善に取り組みます.
統合計算システムとその応用
CAE(コンピュータ援用エンジニアリング)により幅広い分野で使われているMathematicaやMapleなどに代表される計算システムについて学び,前期課程学生としての学術的なバックグラウンドを,そのシステムで十二分に活かすスキルを,応用パッケージの開発に取り組むことで修得します.
数学とウェブインターフェイス
コンピュータとインターネットの発展により,静的な情報は全てXMLで表現して取り扱うという流れになっていますが,MathMLやOpenMathなどでは実際の数学知識が埋め込まれたドキュメントを"完全に"取り扱うことは容易ではありません.それらの問題点を調べ,具体的な改善策の取りまとめに取り組みます.
分散システム/インターネット運用技術
数理情報分野の基礎となるコンピュータやネットワークの知識をベースに,人間環境という立場から行える実践的な取り組みに必要なシステム構築と運用を通し,オープンソースソフトウェアの改良に取り組みます.
数学教育の情報化
昨今のICT社会の到来により,実践的な分野における教育の情報化は大きな成功を納めています.しかしながら,例えば,生徒・学生のやる気という目に見えない部分に対するケアを含む形での情報化はあまり進んでいません.このように定量的に議論することが難しいトピックを取り上げ,定量的に議論を行う事例研究に取り組みます.
これまでの主なテーマ
「Niederreiterアルゴリズムのサーベイと応用」,「数学ソフトウェアに求められるユーザインターフェイスについて」,「Performance analysis of approximate GCD algorithms for univariate polynomials」,「二次元Orientation Problemに対する精度保証付き数値計算による判定手法の改善」,「LMSを用いた中等数学の学習段階の可視化」,「有限体上でのパラメータを含む1変数多項式の因数分解」,「タブレットを用いた電子楽譜の課題と可能性の追求」,「パラメータを伴ったGroebner基底の構造的な検出について」,「中等数学の証明問題における課題」