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研究対象の概要

いろいろ研究してます
一言で書けば「数値・数式融合計算に関する数多のもの」が研究対象です.二言で書けば「数値・数式融合計算に直接関係する数多のものと,ICT(特に記号処理)による様々な分野への応用」が研究対象です.
より具体的に区分すると
  • 新しいアルゴリズムを発見するなどの理論的なもの
  • 実際に計算機上に実装し高速化を図るなどの実験的なもの
  • 数値・数式融合計算システム,インターネット関連技術など,その他
数値・数式融合計算とは

高速に演算できるが誤差を持つ浮動小数点数という仕組みを使って,自然現象や社会現象などの様々な問題を解く方法を研究する,数値解析という分野と,多項式などの数式を因数分解したり簡単化したりする方法を研究する,数式処理という分野の良いところを融合し,より高速に,より正確に計算する方法を意味します.

日本Mathematicaユーザー会における「数式処理と数式処理における誤差の取り扱いについて」のビデオ映像(RealMedia形式,約32MB)をご覧頂くと,私の取り組んでいる数値・数式融合計算について理解しやすいかもしれません.

情報処理学会会誌「情報処理」(Vol.50 No.4)の特集「ソフトウェア再利用の新しい波─広がりを見せるプロダクトライン型ソフトウェア開発─」には,「数式処理と数値計算の融合」という解説記事がありますので,そちらを参照されても良いかと思います.

研究対象のわかりやすい例
計算システム上のあらゆるもの
統合計算システムには,MathematicaMaple,研究ベースではRisa/AsirやGALなどがあります.これらのシステム上に便利なもの(改良だったり,特定用途のパッケージだったり)を実装すること.
理論の一例:近似因数分解
中高で習うように「x^2-y^2」は「(x+y)(x-y)」に因数分解できますが,「x^2-y^2+0.000000000000001」は因数分解できません.これが正しい数学です.でも,応用分野では計測誤差や計算誤差などの不可避の誤差が混入します.つまり,「0.000000000000001」という数は誤差かもしれないのです.もし,それが誤差なら,「x^2-y^2+0.000000000000001」の「「0.000000000000001」を無視して,「(x+y)(x-y)」に因数分解して欲しいと思いませんか.このように,誤差を考慮して因数分解する方法を,近似因数分解と呼びます.
計算システム開発
インターネットの発達,コンピュータの進化によって,人間の学習環境は大きく変革のときを迎えています.高速計算や研究用途ではない,何が良いシステムなのか,そこから始めるシステム開発を行っています.
記号処理の応用
計算機の発達にともない,これまでは不可能であったことが可能になっています.例えば,芸術における数学の利用は,工学的な数値計算の応用がほとんどでしたが,記号的に処理することも可能になってきています.芸術に記号処理を取り入れることにより,どのような新しい研究成果が生まれるか非常に面白い取り組みです.